ヘッジ口座とネッティング口座
FX口座には、大きく分けて「ヘッジ口座」と「ネッティング口座」の2種類があります。
① ヘッジ口座とネッティング口座
・ヘッジ口座
通貨ペアごとに複数のポジションを独立して持つことができる口座形式です。
いわゆる「両建て」が可能で、それぞれのポジションには異なるチケット番号やマジックナンバーが付与され、ポジションを個別に管理・決済できます。
ネッティング口座
同じ通貨ペアに対する反対売買(ロングとショート)は自動的に相殺され、常に1つのポジションだけが存在します。
例:
ロング(買い)2ロット → 直後にショート(売り)1ロットを発注した場合
ヘッジ口座:ロング2ロット + ショート1ロット(計2ポジション)
ネッティング口座:ロング1ロット(相殺後の純ポジション)
② メタトレーダー
MT3(MetaTrader):ネッティング口座のみ対応。
MT4:ヘッジ口座のみ対応。複数ポジションを独立管理。
→ 現在もポジション管理時にSymbolを確認する習慣が一部に残っているが、MT3時代の名残で意味がありません。
MT5:
Build 1320以前(〜2016年):ネッティング口座専用。
Build 1325以降(2016年4月〜):ヘッジ・ネッティング両対応。使用する形式は証券会社が指定。
現在、日本国内で提供されているMT5口座(OANDA Japan、外為ファイネスト、フィリップ証券、AVAなど)は、すべてヘッジ口座です。
③ ブローカー(証券会社)側の事情
ブローカーは、顧客同士の注文を内部で相殺(マッチング)することで、カバー先への発注量を減らしながらもスプレッドやスワップから利益を得る構造になっています。
例:
顧客全体のドル円ポジションが
ロング 1,000ロット
ショート 900ロット
だった場合、差分のロング100ロットだけをカバー先に流し、残りの900ロット分は社内で相殺(ノーリスク)。この900ロット分のスワップがそのまま収益となります。
ネッティング口座ではユーザー単位で反対売買が即座に相殺されるため、保有ポジションが減少し、ブローカーの収益機会(特にスワップ)が減るデメリットがあります。
④ トレーダー(利用者)視点
ヘッジ口座:
MT4と同じように扱えるため、裁量トレードやEA運用に便利。
ただし両建て時はスワップの損失が発生することが多く、無駄なコストにつながる場合も。
ネッティング口座:
ポジションが常に1つのため、どのEAがポジションを保有しているかを特定しにくくなる。
その一方で、平均取得価格が見えるため、株式取引に近い感覚で管理できる。
ただし、成長を前程する株と異なりFXは基本的にレンジ相場が多く、平均化のメリットは相対的に小さい。
⑤ 開発者視点
ネッティング口座では、注文の相殺処理が自動で行われるため、
ポジションの把握が難しくなる場合がある。
特に発注ミス時の再送処理が複雑になり、ポジションを保有したままメタトレーダーが落ちた場合ポジションの把握が困難になる。
複数のEAが1つの通貨ペアを操作する場合、競合・上書き・混在のリスクが発生しやすい。
まとめ
FXではネッティング口座のほうがヘッジ口座よりも手数料を減らすことができます。
また、必要証拠金を減らすことも可能です。
ヘッジ口座でも、内部処理によってネッティング口座を擬似的に再現することが可能です。
特に、両建ての多いロジックにはいいかもしれません。`to be continued...